2011年10月22日土曜日

富士山 part9

七合目以降は、これまでのような滑りやすいガレ場からは解放されましたが、そのかわり時折階段が出現するようになり、それが膝を痛めていた姉をさらに苦しめました。

すでに姉の膝はぐちゃぐちゃです。
階段のところにさしかかると、なにか手がかりになるものを探し、それに頼ってゆっくりと階段を下りていました。
その様はまるで、足元の覚束ない二歳児が階段を下りるよう。
あるいは皇潤のCMのようでした。

それまでは膝を痛めて不機嫌になっている姉にビクビクし、多少疎ましく思う気持ちもありましたが、あまりにも歩き方がひどいのでさすがに憐れをもよおし、姉のためにも早くこの行程が終わればいいのにと思うようになりました。
でも、「荷物を持とうか?」と言っても、自尊心からなのか「いらない」と言ってプリプリしている姉を見ると、やっぱり怖いなと思うのでした。

一方その頃わたくしはというと、足裏に多少の痛みを感じてはいましたが、よく二人いるうちのどちらかが先に泣いてしまうと、もう一人はなだめ役になってしまうというあれと同じで、目の前にもっとひどい状態の人間がいるので、あまり自分のことに頓着している場合ではありませんでした。
まあ、どうやったって歩いていればいずれは終点にたどり着くのだから、歩いていられる限りは大丈夫だろうと思いました。

当たり前ですが、下りは登りの時とはちょうど逆で、下に行くほど植物の数が増えていきます。
だんだんと植物の数が増えて景色が変わっていくのを見ると、なんだかほっとするような気がしました。

六合目から五合目までの道は登山道と兼用です。
一度見た景色なので、ここまで来たらもう本当に大丈夫だと思いました。
しかし、登る時は何も思いませんでしたが、意外とこの行程は距離が長かったのですね。わたしは別に平気だったんですが。

すでに膝の状態が限界に達していた姉は、六~五合目の途中に待機していた観光馬車に乗って五合目に行きました。
もう、四の五の言っている場合じゃなかったのだと思います。
ですので、そこからはわたくし一人で五合目に向かいました。

五合目に到着したのはバスの集合時間のちょっと前です。
あんまり時間はありませんでしたが、売店をくまなく回り、お土産用と自分用に手ぬぐいをゲットしてきました。
そんなにデザインはよくないけど、まあ思い出ですからね。


時間になり、ツアーの参加者全員の確認が済むと、バスに乗り込んで五合目をあとにしました。
このあとに向かったのは、麓の温泉施設です。
こういう富士登山のツアーは、たいてい温泉施設での入浴がセットになっているものなんだそうです。

温泉施設で入浴と用意されていた食事を済ませると、わたしはそこの売店でこのようなものを買いました。


わたくしは時折このTシャツを、外からはわからないように長袖シャツの下などにこっそり着用しては、一人でほくそ笑んでいます。

このようなTシャツを買ったのは、もちろん富士登山が楽しかったからです。
そうは思えないような記述もあったでしょうし、実際に苦しい場面もたくさんあったのですが、もちろん楽しいこともたくさんありました。
一泊二日のツアー中は幸いにも好天に恵まれ、そこで見た景色は今までに出会ったこともないようなすばらしいものでした。
今となっては記憶が美化されて、すべてがキラキラと輝いて見えるぜ。

わたしはまた富士山に登りたいと思いました。
姉はもう二度と行きたくないと言ってましたけどね。

2 件のコメント:

ツイストイコール さんのコメント...

お天気が良くて何よりでしたね。
外界とは違う本当に綺麗な青空が
見てて清々しい気分になれました。

鳴海 桂 さんのコメント...

ツイストイコールさん、いつもコメントありがとうございます。
悪天候の富士は、夏でも死者が出ることがあるそうなので、本当に、お天気に恵まれたのは幸いだったと思います。
おかげで、富士山に何度も登る人の気持ちがなんとなくわかった気がします。