2012年2月20日月曜日

浅草でアイドルと握手した話

浅草寺を見たあとに、今戸焼発祥の地とされる今戸神社や待乳山聖天にも行きましたが、その話はまた今度にいたしましょう。
話は浅草寺境内に入る少し前にさかのぼります。

わたしが浅草寺に行ったのは、1月31日でした。
その日の昼過ぎに、滞在中の姉の家を出たわたくしは、地下鉄をいくつか乗り継いで浅草までやってきました。
駒形堂を見物してから、隅田川沿いを歩いて浅草寺の方へ向かいます。
天気が良くて、気持ちがいい一日でした。

駒形堂から浅草寺までは、徒歩でもせいぜい五分ほどです。
間もなく雷門の前にたどり着くと、ふと、雷門の前の通りの並びの店に、黒山の、というほどでもありませんが、人だかりができているのを発見しました。
おやおや、あれはなんだろう。好奇心にかられたわたくしは、行列の正体を見極めんと、お店の方へ向かうことにいたしました。
お店はCD屋さん、というか、歌謡曲や演歌のCD・カセットテープなどを取り扱う専門店のようです。

行列の正体は、すぐに知れました。
AKB48、チームAの岩佐美咲さんという方が、演歌歌手としてデビューすることになり、今日はその発売イベントが行われるということのようです。
その旨が、店頭に設置されている立て看板に書いてありました。

ふーん。
などと思っているうちに入場整理が始まり、店の前にいた人たちが、呼ばれた番号順に店の二階に入っていくのが見えました。
もし青森でこのようなイベントが行われていたならば、たぶん行かなかったでしょうが(人目があるから)、そこはそれ、旅行中の気安さとフットワークの軽さがあるので、人がはけていくのを横目で見ながら、見れるんならちょっと見てみたいな、という気持ちにだんだんとなってきたのです。

そこでわたくしは、店の前の人だかりがはけたあとで、入場整理をしていた係の人に、「まだ入れますか?」と、少しだけ標準語っぽいイントネーションで尋ねてみました。
すると係の人は、「まだ大丈夫です。店でCDを買うと入場券がもらえるので、それを持ってきてください。イベントは一時半からです」という趣旨の発言を、完璧な標準語で答えました。

さっそくお店の中でCDを買います。
『無人駅』というのが、岩佐さんのデビューシングルのタイトルでした。
わたしの家の最寄駅も無人駅ですが、青森なんか駅の八割ぐらいが無人駅(私見)なので、まあそれはいいです。
通常盤と初回限定盤がありましたが、わたしは初回盤を買いました。

もらった入場券を係の人に提示し、会場まで案内してもらいます。
店の二階にある会場は、間口が六メートルほどで、奥行は八メートルほど。
奥にステージがあり、背後に富士山と太陽が描かれた幕が掛かっています。
演芸場というか、ドサ回りの新人演歌歌手にぴったりの風情でした。
キャパは100人弱ぐらいで、椅子が70~80席ほど用意されていましたが、わたしは遅く入ったので後列での立ち見となりました。

客層は、当然といえば当然ですが、男が圧倒的に多かったです。
女性は一割もいなかったと思います。
岩佐さんの名前入りのタオルを持参する者、手製の名前入りジャンパーを羽織る者など様々ですが、休憩中のサラリーマン風の人や普通のおじいさん、ちょっと寄ってみたという感じのおばさんもいました。

一時半を回ると、恰幅のいい大柄なおじさんが壇上に上がり、今日のイベントの流れを説明しはじめました。
その間、わたしが立っている後列の方で、店の人か関係者の人が「ちょっと真ん中開けといてください」としきりに言うので、近くを通るのかと思うと、それだけで少し緊張してきました。そのあと握手会もあるというのに。

大柄なおじさんの前説が終わり、岩佐さんの名前が呼ばれると、会場の後方から赤い振袖姿の岩佐さんが登場し、客席の合間を通って、ステージの方にゆっくりと歩いていきました。
わたしの近くを通過する時に、ちらっと顔を見てみましたが、第一印象は、良くも悪くも、普通の子だなという感じでした。
しかし、かわいいことはかわいい。そして、非常にお若い方だなと思いました。

壇上では、四曲歌ったと思います。
たしか一曲目がデビューシングルの「無人駅」で、そのあとが「瀬戸の花嫁」(カバー)、「翼をください」(カバー)で、最後にまた「無人駅」を歌いました。
歌はうまかったと思います。そして、本当にド演歌だなと思いました。
一か所だけ、初見でもわかるぐらいに音を外していた箇所がありましたが、普段の活動と勝手が違って彼女も緊張していたのでしょう。
なんとなく、慈愛に満ちた祖父のような気持ちになり、心の中で「ああ、がんばれ」と言いました。

歌が終わると、握手会が始まります。
岩佐さんが会場後方に用意されていたテーブルの後ろにつくと、そこに近い立ち見の客から順番に握手をしていきました。
わたしも立ち見だったので、順番は比較的早い方です。

待っている間、ほかの客との握手の様子を観察していましたが、わたしの二、三人前にいた客が、普段からAKBの握手会にも参加している人なのか、岩佐さんとは顔見知りらしく、流暢に会話をしていました。
わたくしはその様子を見ていて、ファンだからこっちは相手を知っているつもりかも知れないが、顔見知りとはいえ結局は他人だというのに、何をそんなに話すことがあるんだろうか、という気持ちになりましたが、まあ好きだから単純に話をしたいんだろうなと思いました。
アイドルというのは不思議な職業です。

そうこうしているうちに、わたしの順番が回ってきました。
この握手というのも少し特殊なもので、そもそも一般人には日常生活で握手をする機会もそうはありませんが、ずっと握りっぱなしなんですね。
時間にすれば、ほんの数秒間だったと思いますが、最初に握手をして、CD発売のお祝いの言葉などを述べて、お礼を言われて、さあ帰ろうと思っても、まだ時間内なのか、なかなか手を離してくれない。
次に何を言えばいいのかが思い浮かばず、し慣れない握手(しかも初対面の人と)にドギマギして、数秒間がとても長く感じられました。

一回り以上も年下の娘に対し、年甲斐も無くもじもじしてしまいましたが、そこは相手もプロというもので、気を使って何か話しかけてきてくれました。
しかし残念なことに、何を言われたのか全く覚えていません。
今にして思えば、わたしも相当緊張していたんだと思います。
わたくしのような、つまらない人間の相手もしなければならないのだから、アイドルって本当に大変なんだなと思いました。
余談ですが、手が非常に柔らかかったです。

帰り際に、サイン色紙をくれました。
これが、その時の戦利品です。


ああ、このサインどうしよう。
人が来ても見つからない場所に飾っておこうかな。

なんだかんだで、今では岩佐さんのブログをチェックするようになりました。

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