2013年5月25日土曜日

野辺地八幡宮の末社

八幡宮の境内には末社が二つあります。
一つは拝殿左手にある金刀比羅宮で、これは文政五年(1822)に野辺地湊役所支配頭熊谷秀平ならびに地元の廻船問屋仙台屋安田彦兵衛が、海上交通の守り神である金毘羅様を勧請、建立したものだといわれています。
本殿は創建当初のものが現存しており、八幡宮本殿とともに県重宝に指定。現在は拝殿を兼ねた覆屋の中に保存されています。


金刀比羅宮には狛犬が一対ありました。
これは平成十五年九月十五日に、当社の十三代宮司の古希を祝って奉納されたものだそうです。


もう一つの末社は、拝殿の右手にある天満宮です。


この神社は、かつて野辺地城内にあった安政二年(1854)建立の天満宮と、同四年に上野屋長兵衛ほか有志により八幡宮境内に建立された北野神社が、文久三年(1863)に合併したものだといわれています。
野辺地城内の天満宮を八幡宮境内に遷し、北野神社と合併した理由は、安政三年の大地震で北野神社社殿が傷んだこと、また、異国船打払令の発布により国境警備増強などで代官所敷地が手狭になったのが理由で、二社の御祭神が同じであったことから、一箇所に併せ祀ったということのようです。
現在は社号は天満宮を用い、縁起は北野神社のものを用いているということで、創建年は公には安政四年ということになっています。

天満宮には、戊辰戦争の戦役の一つである野辺地戦争において亡くなった、津軽藩士の小島左近貞邦の兜が奉納されているといわれています。
野辺地は黒石藩領(黒石津軽家領)であった平内との藩境にあたり、明治元年(1868)九月二十三日、武力衝突に発展。攘夷派の津軽・黒石の連合軍が佐幕派の南部軍を急襲するかたちで野辺地戦争の戦端が開かれました。
主戦場となったのは、旧代官所のあたりから馬門あたりまでといわれています。
戦闘は南部軍が優勢で、津軽軍が馬門あたりまで追い返されたのち、史実かどうか定かではありませんが、そこで津軽軍の隊長であった小島左近と南部軍の小原末造という者の一騎打ちとなったといいます。
一騎打ちはなかなか決着がつきません。すると、それを見かねた南部軍の一人の兵士が、助太刀しようと不意打ちで左近の足を丸太で払い、そして倒れたところを末造の太刀が切りつけました。
左近は足を払った兵士の顔をキッと睨みつけ、「七代にわたり呪いをかける」と言い残し、すさまじい形相のまま息絶えたといわれています。
左近の首級をとった末造は、助太刀の礼に左近の兜を兵士に授けました。
兜を授かった兵士はその後、家業に力を注ぎ、かなりの財をなしたといいます。
しかし、奇病にとりつかれ、あっという間に息を引き取ってしまいました。
その後もその兵士の家では家人の不幸が相次ぎ、蓄えも底をつきました。
それを見かねた同じ町内の問屋がいくばくかの金を貸すと、兵士の家では借金のカタにと、左近の兜を問屋に預けました。
すると今度は、兜を預かった問屋の主人が急に病に倒れてしまいました。
病の原因がわからず、医者もさじを投げましたが、最後の最後に神頼みをしようとしたところ、「兜を返せ」という神のお告げがあったそうです。
そこで、問屋の家人が兜を元の兵士の家に戻し、兵士の家でも兜を持っているとろくなことがないからと、八幡宮に納めて祈祷してもらいました。
兜を八幡宮にて祈祷してもらったのち、問屋の主人の病状はみるみる回復し、そして以来、左近の兜は八幡宮に置かれるようになったということです。

この話を聞いて個人的に思うのは、明治の御一新の時代に、鎌倉武士のような一騎打ちが行われたものかどうか非常に疑わしいという点ですが、実際に野辺地戦争で津軽藩士の小島左近が戦死したのは間違いのないことであり、左近の兜といわれているものが八幡宮に奉納されているらしいということです。
ただし、わたしは実際にその兜を見たわけではないので、もし実際に兜を御覧になりたいという人があったら、社務所に問い合わせてみるといいと思います。

さて、天満宮にも狛犬が一対ありました。
これは金沢村(野辺地町)の川村という家の人が奉納したもののようです。
金刀比羅宮の狛犬と同じ平成十五年九月十五日建立。石工の名前はどちらも不明ですが、たぶん同じところで作られたものでしょう。


天満宮の狛犬の近くには、年号がよくわからない庚申塔もありました。


昭和五十一年に編纂された、伊東信隆『野辺地八幡宮縁起:創建三百七十五周年記念出版』に、「最近八幡宮境内に、八幡宮創建のもとになったと伝わる庚申様があることが判明しましたが、之も境内神と言う事になります」という記述がありましたが、もしかすると、これがその庚申様でありましょうか。
それにしては、ちょっと新しい感じがしないでもありませんが。
年号が読み取れなかったので、このへんはよくわかりません。

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