2014年2月9日日曜日

貴船神社(十面沢)

貴船神社の鎮座地は弘前市十面沢字沢田92、巌鬼山神社の最寄りである観音林のバス停からは南に約1㎞、バス停二つ分歩いたところにあります。


十面沢の地名の由来は、坂上田村麻呂が赤倉岳の鬼を征伐の折、鬼の面を十面取ったことにちなむといわれていますが、これは伝説の域を出ないものです。
また、菅江真澄「そとがはまかぜ」天明五年(1785)八月十六日の項に、「又十面沢といふあり、岨なる岩を人の顔のごとくに十つくりたるあり、いかなるゆへをしらずとなり」とありますが、これも十面の文字から出た俗説だそうです。
平凡社の『青森県の地名』によると、「とつら」は藤蔓のこと(十面は当て字)で、これが多く棲息している沢地ということからこの名がついたといわれています。
こうしてみると、地名にまったく鬼は関係ないのですが、それにもかかわらず、十面沢という地名を江戸後期の人が鬼に由来するものとして認識していたというところが、この土地というか風土のおもしろいところだなと思いました。

貴船神社の草創は正保四年(1647)で、のち明暦二年(1656)村中にて再建。
貞享四年(1687)の地水帳によると、かつては観音堂と呼ばれていたようです。
同検地帳によると、境内は東西二間四方で村中抱で、「堂建無之」とあるので、貞享四年当時は堂宇が存在していなかったのだと思われます。
その後、延享四年(1747)に社殿を修理し、さらに文化三年(1806)にも社殿の再建が行われたといわれています。


御祭神は闇おかみ神、例祭日は八月十六日で、旧社格は村社。
拝殿の左側に階段があり、階段をのぼりつめた山の上には本殿らしきものがありました。


この中には、当神社の御神体といわれている大きな岩が安置されております。
岩木山山麓には次項で述べる大石神社などにみられるように、巨石信仰があったと考えられていますが、これもその名残であると考えられているようです。

境内に狛犬は一対ありました。
建立年月日は明治二十年五月十六日で、村中で奉納されたもののようです。


ここの吽形は、叱られた子どもみたいな顔をしていて実にかわいいのです。
よしよし、おじさんがお菓子を買ってあげるからもう泣くなと言ってあげたい。
この狛犬は、鐸木能光さんの『狛犬かがみ』には載っていませんでしたが、鐸木さんが運営する「狛犬ネット」(http://komainu.net/)に「日本一情けない顔の狛犬」として紹介されておりました。

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